本ページでは、研究室の歴史と功績を記録するとともに、研究室出身者のキャリアパスを紹介します。
東邦大学 医学部医学科 生化学講座とは
東邦大学 医学部医学科 生化学講座は、1926年(大正15年)に帝国女子医学専門学校の医科学教室として創設されました。約100年の歴史を持つ、日本の生化学研究を牽引してきた研究室です。
2014年から2025年3月まで、中野裕康教授(現・東邦大学特任教授)が8代目教授として研究室を主宰。細胞死や酸化ストレスに関する研究で世界的な成果を上げてきました。
2025年4月、奥西教授が9代目教授として赴任。中野教授は東邦大学研究統括機構の副機構長に就任し、生体防御研究室として研究を継続しています。
研究室の歴史
生化学講座の歴史は、日本の近代医学教育の発展とともにあります。
歴代教授
- 初代 高木逸雄 教授(1926年〜):帝国女子医学専門学校 医科学教室として創設
- 2代目 藤井暢三 教授
- 3代目 高田蒔 教授
- 4〜7代目:浅田敏雄 教授、柳澤勇 教授、天野久夫 教授、山下茂 教授(二人教授時代)
- 8代目 中野裕康 教授(2014年〜2025年):細胞死研究の世界的権威
- 9代目 奥西 教授(2025年4月〜):現教授
浅田敏雄教授は退官後、東邦大学学長や日本私立医科大学協会長を歴任されました。
中野裕康教授について

中野裕康(Hiroyasu Nakano)教授は、細胞死研究の世界的権威です。
主な役職・受賞歴
- 日本Cell Death学会 理事長(2019年〜2023年)
- 日本免疫学会 評議員
- 日本生化学会 代議員
- Journal of Biological Chemistry Editorial Board Member(2007年〜2012年)
- 第26回日本Cell Death学会学術集会 会頭(2017年)
- 私立大学研究ブランディング事業 プロジェクトリーダー(2016年度)
現在は東邦大学特任教授として、生体防御研究室で研究を継続しています。
主な研究業績
生化学講座では、細胞死や酸化ストレスにより誘導される生体応答の解析を中心に研究を行ってきました。
ネクロプトーシスの可視化技術(世界初)
2018年、中野教授と村井晋助教らのグループは、ネクロプトーシス(制御された細胞死)の可視化技術を世界で初めて開発しました。
ネクロプトーシスは、心筋梗塞や脳梗塞などの虚血性疾患に関与する細胞死。この研究により、細胞死を制御する新薬の開発が期待されています。
成果は英国「Nature Communications」に掲載されました。
IL-11と大腸がんの関係解明
2021年、仁科隆史助教と中野教授のグループは、インターロイキン-11(IL-11)陽性細胞が大腸がんの再発に関与することを明らかにしました。
IL-11陽性細胞で発現が亢進している遺伝子群を高発現している患者では、大腸がん再発リスクが高まることが判明。新たな治療標的として期待されています。
新生児壊死性腸炎の動物モデル開発
2019年、新生児期に見られる腸炎の新たな動物モデルを開発。新生児壊死性腸炎の原因解明や治療法開発への貢献が期待されています。
本研究はAMED(日本医療研究開発機構)の支援を受けて実施されました。
ネクロプトーシスの個体レベル可視化(世界初)
2022年、SMARTトランスジェニックマウスを作製し、ネクロプトーシスを個体レベルで観察することに世界で初めて成功しました。
抗がん剤シスプラチンにより近位尿細管上皮細胞でネクロプトーシスが誘導される過程をリアルタイムで観察することが可能に。成果は「Communications Biology」に掲載されました。
研究室出身者のキャリアパス
生化学講座からは、多くの研究者が巣立っています。アカデミアで活躍する者、企業で研究開発に携わる者、それぞれのフィールドで専門性を活かしています。
アカデミアで活躍する卒業生
- 森脇健太:広島大学大学院 医系科学研究科 医化学 教授
- 土屋勇一:東邦大学 薬学部 准教授
- 仁科隆史:東邦大学 医学部 病態生化学分野
- 出口裕:東邦大学医学部 臨床研究推進センター
- 片桐翔治:東邦大学大橋病院 膠原病内科
- 三好嗣臣:大森病院 呼吸器内科 助教
企業・医療機関で活躍する卒業生
- 小林謙太:企業研究職
- 後藤有貴:企業研究職
- 中林修:ベンチャー企業
- 三浦亮介:企業
- 黒澤武介:一般病院
- 竹田若水:企業
- 仙波愛望:企業
- 大関舞香:企業
研究で培った論理的思考力、問題解決能力、英語力は、アカデミア以外のフィールドでも高く評価されています。
BioChemi Labへの変遷
2025年、中野教授の定年退職に伴い、tohobiochemi.jpは新たなミッションを担うことになりました。
研究室で蓄積した知見と、卒業生たちのキャリア経験を活かし、生命科学・医学系研究者のキャリア支援メディア「BioChemi Lab」として再出発。ポスドクや任期付き研究者が直面するキャリアの課題に、具体的な情報を提供しています。
「研究しかやってこなかった」は弱みではありません。研究者が培ったスキルは、企業でも武器になる。それを証明するのが、当サイトのミッションです。
関連リンク
現在の研究室・教授情報
- 東邦大学 医学部 生体防御研究室(中野裕康 特任教授)
- 東邦大学 医学部 生化学講座(公式サイト)
- 中野裕康|researchmap
- 中野裕康|J-GLOBAL
主な研究成果(プレスリリース)
- ネクロプトーシスの個体での可視化を世界で初めて実現(2022年・東邦大学)
- インターロイキン-11陽性細胞は大腸がんの再発に関与する(2021年・東邦大学)
- IL-11陽性細胞と大腸がん再発(2021年・AMED)
- 新生児壊死性腸炎の新たな動物モデル開発(2019年・AMED)
- ネクロプトーシスの可視化を世界で初めて実現(2018年・東邦大学)
研究者データベース
- KAKEN|ネクロプトーシス実行機構の解明(科研費プロジェクト)
- Hiroyasu Nakano|Springer Nature Research Communities
- Takashi Nishina|BIO-PROTOCOL
学会・研究プロジェクト
- 日本Cell Death学会
- ダイイングコード|新学術領域研究(細胞死を起点とする生体制御ネットワークの解明)
研究者のキャリアでお悩みの方へ
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本ページは、旧 東邦大学 医学部医学科 生化学講座の歴史を記録するアーカイブページです。現在の研究室に関する最新情報は、東邦大学公式サイトをご確認ください。
